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 ゆきの形見
2006年06月20日 (火) | 編集 |
IMG_2176.jpg

そして、14歳の夏、ゆきは逝ってしまった。
朝一番に駆け込んだ、かかりつけの獣医さんの診察室で。
先生は、最後まで心臓マッサージを試みてくれたが、苦しそうに気管を鳴らすゆきの姿に耐え切れず、
私はそっと先生の手を押し戻した。

「もう、いいです。ありがとうございました。」

最後は声にならなかった。
私は静かにゆきを抱き上げて最後のときを待った。
やがて、荒い呼吸の後、細く甲高い鳴き声を上げ、ゆきは旅立っていった。

神経質で、人にあまりなつかなかったゆき。
抱き上げると嫌がって、すぐに床に飛び降りる可愛げのなさ。
それでも、私が結婚して家を出た夜、空っぽになった私の部屋の洋服ダンスの中で、しょんぼりと丸くなっていたそうだ。生活が落ち着き、実家へ迎えに行った時、今更、なにしに来たんだよ!と言わんばかりに毛を逆立てて怒っていた。

ここまで書いたら、涙が出てきてしまった....。
もう一年近く前のことなのに、思い出すとやはり悲しい。
もっともっと、やさしくしてやればよかった...。
私は、ゆきにとって、いい飼い主ではなかったかもしれない...。
ごめんね、ゆき。
天国で、子猫の頃にはぐれてしまったお母さんに逢えると良いね。
いっぱいいっぱい甘えておいで。
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テーマ:いま想うこと
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 経る時2
2006年06月17日 (土) | 編集 |
IMG_2152.jpg

ケンカになると、いつも全力でゆきにぶつかっていったくり。
ゆきはいつも力半分。
適当にあしらって、たまにはくりに華を持たせる余裕も見せた。

だが、牙を折られたあの日以来、ゆきはくりに手を出さなくなった。

えさを食べていても、くりが近づいてくれば静かにその場を離れ、
ソファで眠っていても、くりが上ればリビングの椅子の上に移動した。

一時期は6キロ近くあった体重も、日を追うごとに減ってゆき、
14歳の春を迎える頃には、4キロ弱にやせてしまった。
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 経る時
2006年06月15日 (木) | 編集 |
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クールで人になつかなかった白猫のゆき。
だが、年降るごとに人のひざにのってくることが多くなった。

14歳を過ぎる頃、私のひざの上でとろとろまどろんでいるゆきを
ついにくりが追い落とした。
ゆきは、別に怒るでもなく不満をもらすでもなく、
ただ悠然とリビングを出て行った。
その数日後、仕事から帰った私は、椅子の上に妙なものを発見した。
かぎ爪のように湾曲した象牙色のその物体は、
へし折られたゆきの糸切り歯だったのだ。

これまで何度も、ゆきとくりが取っ組み合い転げあう姿を見てきた。
最後は体格に勝るゆきがくりを押さえつけて終わっていた。
だが、この日を境に、二匹の立場は逆転してしまったのだ。
座布団のうえに転がっている牙の残骸が、そのことを雄弁に物語っていた。
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 母性本能2
2006年06月12日 (月) | 編集 |
母性本能

目も開かぬうちに母猫とはぐれ、我が家にやってきたサビ猫のくり。
目つきは悪いが、これでも一応女の子。
先住の白猫に遠慮するそぶりも見せず、
えさは食べ放題、トイレも使いたい放題。
先住の白猫ゆきは、当時9歳の中年おじさん(去勢済みなのでオカマ)
発情期になれば魅力的なダンスでよく誘われていた。
神経質で周りのことに無関心だったゆき。
新参者のくりを可愛がることは、あまりなかった。
だが、居心地のいいソファも、暖かいストーブの前の特等席も
いつのまにか、くりに譲っていた。
テーマ:ちょっとした出来事
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 母性本能
2006年06月08日 (木) | 編集 |
ちちもみ

先住の猫はメス。

栗のいがみたいな毛色のサビ猫なので
名前は「くり」


5年前の5月、ある風の強い日の朝
道路の真ん中にうずくまっていた。
全身泥まみれで、どこに顔があるのかもわからない程汚れていた。
あまりのみすぼらしさに、つい情が移って抱き上げると、
目やにでつぶれた目をこちらに向け、声にならない鳴き声をあげた。
体は冷え切ってやせ細り、かなり衰弱しているようだった。
死に水を取ってやるつもりで獣医へつれてゆくと
今夜が峠だという。
超栄養食と超栄養ミルク、抗生物質にお高い注射を一本。
「今夜の峠」を軽くクリアし、現在に至る。
あの死にかけていたやせっぽちの小汚い子猫が、
いまや新参猫の母親がわり。
でないお乳をおとなしく吸わせている。
なんかいじらしいなぁ…。
テーマ:ちょっとした出来事
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 あれから10ヶ月…
2006年06月07日 (水) | 編集 |
小雪

仕事帰りに、携帯が鳴った。

相手は、さして親しくもない職場の後輩。
「小雪さん、猫いりません?」
笑いをかみ殺したような声で彼女は言った。

去年の夏、14年間ともに暮らした白猫が死んでしまった日、
私は彼女と初めて出会った。
泣き腫らした目をして出勤した朝、
彼女は職場のドアに張ってある求人広告を眺めていたのだ。

あれからちょうど10ヶ月。

段ボール箱に入れられた白い子猫をさしだして、彼女は屈託なく笑った。
「白い猫といえば小雪さんだと思って。」
悪気のない、純粋な笑顔。
十八も年が離れていて、部署も違う私のことを、彼女は覚えていたのだ。

託された子猫を抱きあげると、か細いながらも一人前に抗議の声を上げた。

子猫の肉球がふれたところから
徐々に温かさが広がっていくような気がした。
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